
求人情報の的確表示義務とは|職業紹介事業者の虚偽・誇大表示の禁止と最新化【2026年版】
職業紹介事業者は、職業安定法5条の4(2022年10月施行)により、求人情報を正確かつ最新の内容に保ち、虚偽・誇大な表示をしてはならない「的確表示義務」を負います。
求人媒体や自社サイトに掲載した情報が古いまま残っていたり、実態と異なる条件で募集が続いていたりすると、求職者との認識のズレやトラブルの原因になります。2022年の職業安定法改正で、こうした表示のルールが明確化され、掲載する求人企業だけでなく、間に立つ職業紹介事業者にも継続的な情報管理が求められるようになりました。
本記事では、的確表示の対象となる5つの情報、禁止される虚偽・誇大表示の具体例、そして求人情報を正確かつ最新に保つための社内運用とチェック体制までを、法令の一次情報にもとづいて事業者オペレーター目線で整理します。
結論:職業紹介事業者は求人情報を正確・最新に保つ「的確表示義務」(職安法5条の4)を負う
職業紹介事業者の的確表示義務とは、職業安定法5条の4にもとづき、求人情報などを正確かつ最新の内容に保ち、虚偽または誤解を生じさせる表示を行ってはならない義務を指します。
単に掲載時点で正しければよいのではなく、掲載を続けている間ずっと情報を維持する点が特徴です。まず全体像を早見表で確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 義務の名称 | 情報の的確な表示(的確表示義務) |
| 根拠条文 | 職業安定法 第5条の4 |
| 施行日 | 2022年(令和4年)10月1日 |
| 主な対象者 | 職業紹介事業者・求人者・募集情報等提供事業者 等 |
| 対象となる情報 | 求人情報/求職者情報/求人企業情報/自社に関する情報/事業の実績 |
| 禁止される表示 | 虚偽の表示・誤解を生じさせる表示 |
| 求められる措置 | 情報を正確かつ最新の内容に保つ(訂正・掲載中止を含む) |
| 違反時の行政対応 | 助言・指導・勧告、改善命令等 |
的確表示義務(職安法5条の4)とは|制度の全体像

的確表示義務は、求人・求職に関わる情報を扱うすべての当事者に、正しい情報を届ける責任を求める規定です。ここでは条文の位置づけと施行の背景を整理します。
5条の4の条文と2022年10月施行の背景
的確表示義務の根拠は、職業安定法第5条の4「情報の的確な表示」です。2022年(令和4年)10月1日に施行された改正の柱のひとつで、求人情報のミスマッチやトラブルを防ぐために設けられました。
この条文の対象者には、公共職業安定所や求人者に加えて、職業紹介事業者や募集情報等提供事業者も明記されています。つまり、求人を掲載する企業だけでなく、求人を取り次ぐ職業紹介事業者自身も、自らが扱う情報の正確性に責任を負うということです。義務の中身は大きく2つで、虚偽・誤解を生じさせる表示の禁止と、情報を正確かつ最新に保つ措置の実施です。
労働条件明示(5条の3)との違い=別義務であることの整理
的確表示義務(5条の4)と混同されやすいのが、労働条件の明示を定める職業安定法5条の3です。両者は目的も対応も異なる別々の義務です。
5条の3は、求職者に対して賃金・就業場所などの労働条件を明示することを求める規定で、明示すべき項目や書面等の交付方法が論点になります。一方の5条の4は「条件を伝える」ことではなく「掲載している情報そのものを正確・最新に保つ」ことが論点です。本記事は5条の4に絞って解説し、労働条件明示の具体的な項目は扱いません。明示側のルールは別途、労働条件明示の解説を参照してください。
的確表示の対象となる5つの情報

的確表示義務が及ぶ情報は、求人情報だけではありません。法令上は5種類の情報が対象として列挙されています。
対象となる5つの情報
- 求人情報(募集する職種・賃金・就業場所などの条件)
- 求職者情報(登録している求職者に関する情報)
- 求人企業に関する情報(募集を行う企業そのものに関する情報)
- 自社に関する情報(職業紹介事業者・募集情報等提供事業者など自身に関する情報)
- 事業(業務)の実績に関する情報
このうち4番目の「自社に関する情報」は見落とされがちです。自社サイトやパンフレットに掲載する紹介実績・許可状況などの表示も、的確表示義務の対象に含まれる点に注意が必要です。
職業紹介事業者が特に注意すべき情報と表示範囲
職業紹介事業者が日常的に扱うのは、主に求人情報と自社の実績情報です。求人企業から預かった条件をそのまま媒体へ掲載する過程で、内容の取り違えや更新漏れが起きやすく、ここが的確表示のリスクポイントになります。
自社に関する情報や事業実績の表示も同様です。人材HUBの実務でも、成約数や対応領域を示す表現は、実態と一致しているかを定期的に見直す運用を推奨しています。「盛った」数字や古い実績を残さないことが、的確表示の基本姿勢になります。
禁止される虚偽表示・誇大(誤解を生じさせる)表示の具体例

的確表示義務では、明らかな嘘だけでなく、結果として求職者が誤解する表示も禁止されます。判断のポイントを具体例で押さえましょう。
求人票・求人情報でありがちなNG表示パターン
行政資料では、禁止される表示の例として次のようなものが挙げられています。実態は契約社員やアルバイト・パートであるのに「正社員」と表示するケース、実際に支払われる賃金より高い賃金を掲載するケースなどです。
いずれも「事実と異なる条件で人を集めてしまう」点が問題視されています。求人企業から受け取った条件を確認せずに掲載し、後から相違が判明した場合でも、掲載主体である職業紹介事業者の表示責任が問われ得ます。受領した条件は、掲載前に企業側と内容を突き合わせておくことが重要です。
「誤解を生じさせる表示」の判断の考え方
的確表示義務では、意図的な虚偽でなくても、一般的・客観的に見て求職者が誤解するような表示であれば規制の対象になります。「嘘ではないから問題ない」とは限らないという点が実務上のポイントです。
たとえば好条件の一部だけを強調し、適用条件や例外を小さくしか示さない表示は、全体として誤解を生む可能性があります。表示は、平均的な求職者がどう受け取るかを基準に、条件の前提や範囲まで含めて正確に伝える必要があります。
求人情報を「正確かつ最新」に保つ運用

的確表示義務のもう一方の柱が、情報を正確かつ最新に保つ措置です。掲載後の運用こそが、事業者の対応力を左右します。
掲載中止・訂正依頼への遅滞なき対応フロー
法令が求める具体的な措置は明確です。求人情報や求職者情報が正確・最新でないと確認したときは、遅滞なく、情報提供の依頼者に訂正の有無を確認するか、情報提供を中止することとされています。
さらに、募集が終了した、または内容が変更されたときは、速やかに求人情報の提供を終了または内容変更する必要があります。実務では、「相違を確認したらまず掲載を止める・確認する」「終了・変更を把握したらすぐ反映する」という判断ラインを社内で決め、担当者が迷わず動ける状態にしておくことが有効です。
成約・充足後のクローズと更新日管理の仕組み化
正確性の維持を人の記憶や手作業だけに頼ると、更新漏れが起きやすくなります。そこで、更新日の可視化と、成約・充足後の掲載クローズを仕組みとして組み込む方法が効果的です。
人材HUBでは、求人情報に更新日を表示し、成約・充足後に該当求人を自動でクローズする運用で、掲載情報の最新性を保ちやすくしています。担当者の手作業に頼らず、正確かつ最新の状態を仕組みで担保したい場合の選択肢になります。
いつ更新された情報かがひと目で分かり、決まった求人が自動的に閲覧対象から外れる状態を作れば、的確表示義務への日常的な対応負荷を下げられます。
違反時のリスクと社内チェック体制

最後に、義務に反した場合の行政対応と、未然に防ぐための社内チェックの考え方を整理します。
指導・改善命令等の行政対応の流れ
的確表示義務に反する表示が確認された場合、行政による助言・指導・勧告、改善命令等の対応がとられ得ます。まずは是正を促し、それでも改善されない場合に、より強い措置へ進む流れが想定されます。
具体的な過料額などをここで断定することはしませんが、行政指導の対象になること自体が、求職者や取引先企業からの信頼低下につながります。表示は「指摘されてから直す」のではなく、日常運用の中で正確・最新に保つことが最善の対策です。
的確表示セルフチェックリスト(掲載前・掲載中)
社内でのチェックは、掲載前と掲載中の2段階で設計すると抜け漏れを防げます。掲載前は「求人企業から受け取った条件と表示が一致しているか」「賃金・雇用形態を実態どおりに記載しているか」を確認します。
掲載中は「終了・充足した求人が残っていないか」「更新日が古い情報が放置されていないか」「自社実績の表示が現状と合っているか」を定期的に点検します。これらを担当者任せにせず、更新日表示や自動クローズなどの仕組みと組み合わせることで、的確表示義務への継続的な対応が現実的になります。
まとめ
職業紹介事業者にとって的確表示義務(職安法5条の4)は、単発の掲載チェックではなく、掲載中も情報を正確かつ最新に保ち続ける継続的な運用が求められる義務です。対象は求人情報を含む5つの情報で、明らかな虚偽表示だけでなく、一般的・客観的に見て誤解を生じさせる表示も禁止されます。掲載情報が古い・実態と異なると分かった場合は遅滞なく訂正確認または掲載中止を行い、募集終了・充足時には速やかに掲載を終了・変更する体制を整えましょう。関連する制度全体像は2024年 人材業界の法改正まとめもあわせて確認してください。
求人情報を仕組みで最新化
人材HUBは候補者・求人・進捗を一元管理し、更新日表示と成約後の自動クローズで掲載情報の正確性維持を後押しします。
料金・機能の詳細や無料での製品体験については、お問い合わせからご案内しています。
よくある質問(FAQ)
求人情報の的確表示義務は職業紹介事業者も対象ですか?
対象です。職業安定法5条の4は、求人者や募集情報等提供事業者とならんで、職業紹介事業者を明確に対象者として列挙しています(厚生労働省「職業安定法の改正について」)。求人を取り次ぐ立場でも、自らが扱う求人情報・自社情報の正確性に責任を負います。
的確表示義務(5条の4)と労働条件明示(5条の3)はどう違いますか?
別の義務です。5条の3は求職者への労働条件の明示を求める規定で、明示する項目や方法が論点になります。5条の4は、掲載している情報そのものを正確かつ最新に保ち、虚偽・誤解を生じさせる表示をしない義務です。目的も対応も異なるため、それぞれ個別に対応が必要です。
求人情報を「最新に保つ」とは具体的にどこまで対応すればよいですか?
情報が正確・最新でないと確認したら、遅滞なく提供依頼者へ訂正の有無を確認するか、提供を中止します。募集の終了・内容変更を把握したら、速やかに掲載を終了または変更します(厚生労働省 職業安定法改正資料)。更新日表示や自動クローズの仕組み化で対応漏れを防ぐと確実です。
虚偽・誇大な求人表示をした場合、罰則やペナルティはありますか?
的確表示義務に反する表示が確認された場合、行政による助言・指導・勧告、改善命令等の対応がとられ得ます(厚生労働省 職業安定法改正資料)。具体的な金額は事案により異なるため、本記事では断定しません。行政対応の対象になること自体が信頼低下につながるため、日常運用での予防が重要です。
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