人材紹介の法改正対応ガイド|2024〜2025年の主要改正を実務目線で解説【2026年最新】
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人材紹介の法改正対応ガイド|2024〜2025年の主要改正を実務目線で解説【2026年最新】

人材HUB編集部
2026年4月12日21分で読める

「2024年4月の法改正で何が変わったのか、まだ整理できていない」 「2025年4月の違約金事前明示義務に対応できているか不安」

2024年から2025年にかけて、人材紹介事業(有料職業紹介事業)に関わる職業安定法・職業安定法施行規則の改正が2回にわたり施行されました。いずれも求人受付・契約締結・候補者対応の実務に直結する内容ですが、改正タイミングが分かれているため全体像を把握しにくいのが実情です。

本記事では、2024年4月と2025年4月の主要改正を「何が変わり、人材紹介事業者は何をすればよいか」に絞って実務目線で解説します。改正対応のチェックリストも掲載しているので、自社の対応状況の確認にも使ってください。

開業から運営まで全体像を把握したい方は人材紹介業の開業完全ガイドも合わせてご覧ください。

2024〜2025年 人材紹介関連の改正タイムライン

2024年4月・2025年4月の人材紹介関連法改正タイムライン
2024年4月・2025年4月の人材紹介関連法改正タイムライン

直近2年で施行された主要な改正は、以下の2つです。

施行日改正内容影響範囲
2024年4月1日労働条件明示ルールの拡充/手数料表等の情報提供方法の見直し求人受付・労働条件通知・自社情報の公開
2025年4月1日違約金規約の事前明示義務/雇用仲介事業者への新ルール紹介契約の締結プロセス・契約書整備

いずれも厚生労働省の指針告示と職業安定法施行規則の改正によるもので、違反した場合は行政指導・改善命令・許可取り消しの対象になり得ます。

2024年4月施行: 労働条件明示ルールの拡充

2024年4月改正で追加された労働条件明示4項目
2024年4月改正で追加された労働条件明示4項目

何が変わったか

2024年4月1日から、求人者および職業紹介事業者が労働者の募集・職業紹介を行う際、求職者に対して明示すべき労働条件が追加されました。

追加された明示事項は以下の4点です。

#追加された明示事項概要
1従事すべき業務の変更の範囲将来の配置転換等も含めた業務内容の変更範囲
2就業の場所の変更の範囲将来の異動・転勤も含めた就業場所の変更範囲
3有期労働契約を更新する場合の基準通算契約期間または更新回数の上限を含む
4無期転換申込権が発生する場合の明示無期転換ルールの説明(有期契約のみ)

「変更の範囲」とは、雇入れ直後だけでなく、契約期間中における変更の可能性も含めた範囲を意味します。たとえば「営業職として採用するが、将来的に企画職へ異動する可能性がある」場合、その異動先も「業務の変更の範囲」として明示する必要があります。

人材紹介事業者がやるべきこと

職業紹介事業者は、求職者へ求人情報を提示する際、追加された4項目を含む労働条件を明示しなければなりません。実務上は以下のステップで対応します。

  1. 求人企業に追加4項目のヒアリングを徹底する — 求人申込書に4項目の記入欄を追加する
  2. 求人票(候補者向け資料)のテンプレートを更新する — 「業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」を必須項目化
  3. 有期契約の求人は更新基準を具体的に確認する — 「諸般の事情を総合的に考慮」のような抽象的表現は不可

更新基準の記載例は次のとおりです。

❌ 「諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断する」 ✅ 「勤務成績、勤務態度、業務量により判断する」「会社の経営状況、契約期間満了時の業務量により判断する」

求職管理簿への反映

職業安定法施行規則第24条の7に基づく求職管理簿にも、求職者に明示した労働条件を記録する運用が望ましくなります。法定帳簿への記録は、後日の労使紛争やトラブル発生時の証拠としても機能します。

法定帳簿の作り方は法定帳簿ガイドを参照してください。

2024年4月施行: 手数料表等の情報提供方法の見直し

手数料表の情報提供方法 改正前と改正後の比較
手数料表の情報提供方法 改正前と改正後の比較

事業所掲示から自社HP掲載が可能に

同じく2024年4月の改正で、職業紹介事業者が公開すべき以下の情報について、事業所内への掲示に代えて自社ホームページ等での情報提供が可能になりました。

公開すべき情報改正前改正後
手数料表事業所内に掲示自社HP等での公開も可
返戻金制度事業所内に掲示自社HP等での公開も可
業務の運営に関する規程事業所内に掲示自社HP等での公開も可

これは在宅勤務・小規模事業所が増えたことを受けた現実的な改正です。特に1人開業・小規模エージェントには大きなメリットがあり、来訪者がいなくても情報公開義務を果たせるようになりました。

公開すべき情報の例

自社HPで公開する場合、以下を「サービスのご案内」「事業情報」「手数料について」などのページに掲載するのが一般的です。

  • 手数料の種類と金額(成功報酬の料率、各種オプション費用)
  • 手数料の徴収時期(入社決定時/入社後30日等)
  • 返戻金制度(早期退職時の返金率、フリーリプレイスメントの条件)
  • 業務運営規程(個人情報の取扱、苦情処理体制、紹介先の選定方法等)

手数料の設計については手数料相場ガイド、返戻金制度については返金規定トラブル対策もあわせて参照してください。

注意点: 「掲示しなくてよい」ではない

自社HP掲載は代替手段であり、公開義務そのものは継続しています。HPがない場合は従来どおり事業所内掲示が必要です。また、HP掲載でも「閲覧者が容易にアクセスできる場所に掲載する」ことが求められます。

2025年4月施行: 違約金規約の事前明示義務

2025年4月改正 違約金規約の事前明示フロー
2025年4月改正 違約金規約の事前明示フロー

何が変わったか

2025年4月1日から、職業紹介事業者が求人者に対して違約金規約を設けている場合、その規約を契約締結前にあらかじめ明示する義務が追加されました。

これは厚生労働省の指針告示(職業安定法第48条に基づく指針)の改正によるもので、求人受付時の明示事項に「違約金の額、違約金が発生する条件及び解除方法を含む契約の内容」が加わりました。

明示すべき項目

事前明示が必要な項目は次のとおりです。

#明示項目具体例
1違約金の額または計算方法「成約手数料の50%」「入社後1ヶ月以内は80%」等
2違約金が発生する条件「入社後◯ヶ月以内の自己都合退職」「企業による解雇」等の区分
3違約金規約の解除方法契約解除の手続き・通知期間
4違約金規約の全体的な内容返戻金テーブル全体、対象外条件

「違約金」「賠償予定」「返戻金」「キャッシュバック」など名称を問わず、契約解除や早期退職時に求人企業から請求される金銭的なペナルティは対象です。

明示方法

明示は「書面または電子メールその他の適切な方法により、誤解が生じないよう正確に契約締結前に行う」必要があります。実務上は以下の方法が一般的です。

  • 紹介基本契約書のドラフトを契約締結前に求人企業へ送付し、違約金規約を含めて確認させる
  • 提案書・サービス資料に「返戻金制度」のページを含める
  • 自社HPで返戻金テーブルを公開し、契約書でそのURLを参照する

既存契約への影響

2025年4月1日以降に締結する新規契約から適用されます。既存契約は適用外ですが、契約更新・改定のタイミングで明示書類を整備するのが望ましい運用です。

返金規定・違約金規約の設計の詳細は返金規定トラブル対策ガイドで解説しています。

改正対応の実務チェックリスト

2024〜2025年改正対応の実務チェックリスト
2024〜2025年改正対応の実務チェックリスト

自社の対応状況を以下のチェックリストで確認してください。

2024年4月改正への対応

  • 求人申込書に「業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」の記入欄を追加した
  • 求人票テンプレートに4つの新規明示事項を反映した
  • 有期契約の求人について、更新基準を具体的に記載するルールを徹底している
  • 求職管理簿に求職者へ明示した労働条件を記録する運用ができている
  • 手数料表・返戻金制度・業務運営規程をHPまたは事業所内で公開している

2025年4月改正への対応

  • 紹介基本契約書に違約金(返戻金)規約を明記している
  • 契約締結前に違約金規約を含む書面を求人企業へ交付する運用がある
  • 違約金の額、発生条件、解除方法を契約書に具体的に記載している
  • 自社HPの「料金・返戻金」ページが2025年4月改正後の内容に更新されている
  • 新規契約フローに「事前明示書類の交付」のステップを組み込んだ

5項目以上「✓」がついていれば、改正対応は概ね問題ありません。3項目以下の場合は早急な見直しが必要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 2024年4月以前から運営している事業所は、何をすればよいですか?

求人申込書・求人票テンプレート・契約書類を4つの新規明示事項に対応した形式に改定する必要があります。既存の求人企業へ過去にさかのぼって明示し直す義務はありませんが、新規受付分から順次対応してください。

Q2. 自社ホームページがない場合、手数料表は事業所内掲示だけでよいですか?

はい。事業所内への掲示は従来どおり有効です。自社HP掲載は「代替手段として認められた」ものであり、HPがない場合は事業所内掲示で公開義務を果たしてください。

Q3. 違約金事前明示義務に違反した場合のペナルティは?

厚生労働省の指針違反として、行政指導・改善命令の対象となります。重大・反復的な違反の場合は許可取消事由になり得ます。求人企業との間でトラブルが発生した場合、明示義務違反が損害賠償請求の根拠とされる可能性もあります。

Q4. フリーリプレイスメント(代替紹介)のみの場合、違約金事前明示は必要ですか?

「金銭を返金しない=代替候補者を紹介するのみ」の運用でも、契約上の条件として事前明示の対象になります。フリーリプレイスメントの条件(対象期間、代替紹介の回数上限、紹介できなかった場合の扱い等)を契約書に明記し、契約締結前に求人企業へ交付してください。

Q5. 2024年4月の労働条件明示は、求人企業から情報をもらえない場合どうすればよいですか?

職業紹介事業者は、求人企業から労働条件の詳細を取得する責任を負います。情報が不足する場合は求人を受理しないのが原則的な対応です。詳しくは求人受理拒否ガイドを参照してください。

Q6. 違約金規約を設けていない場合、事前明示は不要ですか?

違約金規約を設けていない場合、事前明示義務はそもそも発生しません。ただし、実態として早期退職時に返金している場合は「規約あり」とみなされる可能性があるため、契約書に「違約金は発生しない」と明記しておくのが安全です。

まとめ

2024年4月と2025年4月の改正は、いずれも「求職者・求人企業への情報提供の透明化」がテーマです。条文を逐一暗記する必要はありませんが、自社の業務フローに「明示・公開」のステップが組み込まれているかを定期的に点検してください。

特に1人開業・小規模エージェントでは、契約書類や求人票テンプレートの整備が後回しになりがちです。法令違反は許可取消にも直結するため、年1回は契約書類・HP公開情報の棚卸しを行うことをおすすめします。

法改正への対応と並行して、求人受理拒否の判断基準も整理しておくと、改正対応の漏れを減らせます。詳しくは求人受理拒否ガイドを参照してください。


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