募集情報等提供事業と人材紹介の違い|届出制度の対象になるケースと許可要否【2026年版】
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募集情報等提供事業と人材紹介の違い|届出制度の対象になるケースと許可要否【2026年版】

人材HUB編集部
2026年4月21日25分で読める

「自社サイトで求人情報を掲載しているが、職業紹介の許可は必要?」 「ダイレクトリクルーティング系のサービスを始めたいが、届出はどこに出せばよいか」

雇用仲介ビジネスには 「職業紹介事業」「募集情報等提供事業」「労働者派遣事業」 など複数の事業区分があり、それぞれ許可・届出の要否や規制内容が大きく異なります。特に2022年10月の職業安定法改正で「募集情報等提供事業」の定義が拡大し、求人サイト・スカウト型サービスの多くが新たに届出対象となりました。

本記事では、募集情報等提供事業と人材紹介(有料職業紹介事業)の違いを、許可制度・届出制度・実務影響に分けて整理します。自社事業がどちらに該当するかの判定フローチャートも用意したので、サービス設計の検討に役立ててください。

人材紹介事業の開業を検討している方は人材紹介業の開業完全ガイドもあわせてご覧ください。

雇用仲介ビジネスの4類型

雇用仲介ビジネスの4類型(職業紹介・募集情報等提供・労働者派遣・求人広告)
雇用仲介ビジネスの4類型(職業紹介・募集情報等提供・労働者派遣・求人広告)

求職者と求人企業を結ぶ事業は、職業安定法上、大きく4つに分類されます。

事業区分概要規制
職業紹介事業求人と求職のあっせんを行う厚生労働大臣の許可(有料)または届出(無料)
募集情報等提供事業求人・求職情報を提供するのみ(あっせんなし)原則自由(特定の場合のみ届出
労働者派遣事業自社で雇用した労働者を派遣厚生労働大臣の許可
求人広告求人情報を媒体に掲載する単発契約規制対象外(広告業として通常運営)

**最大の分かれ目は「あっせん行為があるか否か」**です。あっせんがあれば職業紹介事業(許可制)、あっせんがなければ募集情報等提供事業以下(一部届出制)になります。

募集情報等提供事業とは

定義(職業安定法第4条第6項)

職業安定法第4条第6項では、募集情報等提供事業を次のように定めています。

「労働者の募集を行う者若しくは募集受託者の依頼を受け、当該募集に関する情報を労働者となろうとする者に提供すること」または「労働者となろうとする者の依頼を受け、当該者に関する情報を労働者の募集を行う者等に提供すること」

簡単に言えば、求人企業から「うちで募集中」という情報を預かって求職者へ提示する、または求職者の情報を求人企業へ提示する事業です。

「あっせん」を行わないことが要件

職業紹介事業との最大の違いは、雇用関係成立の「あっせん」を行わないことです。「あっせん」とは、求人企業と求職者の間に立って雇用関係の成立を積極的に取り持つ行為を指します。

行為あっせんに該当するか
求人情報をサイトに掲載するだけ× 該当しない
求職者にスカウトメールを送る(自動配信含む)× 原則該当しない
求職者と求人企業の連絡を仲介する△ 程度による
面接の日程調整を行う○ 該当する可能性が高い
雇用条件の交渉を行う○ 該当する
採用合否の通知を仲介する○ 該当する

情報提供を超えてあっせんを行っている」と判断されれば、無許可で職業紹介事業を行ったことになり罰則の対象です。

2022年10月の改正で範囲が拡大

2022年10月1日施行の改正職業安定法により、募集情報等提供事業の対象範囲が大きく拡大しました。

項目改正前改正後
対象事業求人広告・求人サイト中心クローリングで集めた求人情報の提供も対象
求職者情報の取扱規制が弱い求職者情報を収集して提供する場合は届出制
罰則なし違反に対する罰則を新設

特に「インターネット上の公開情報等から収集した求人情報・求職者情報を提供する事業」が新たに対象になり、求人クロールサイト・アグリゲーションサービスの多くが対象になりました。

特定募集情報等提供事業者(届出が必要なケース)

特定募集情報等提供事業者に該当する3条件(求職者情報の収集トリガー)
特定募集情報等提供事業者に該当する3条件(求職者情報の収集トリガー)

「求職者情報の収集」がトリガー

募集情報等提供事業のうち、労働者になろうとする者に関する情報を収集して情報提供に使用している事業者は「特定募集情報等提供事業者」として、事業開始前に厚生労働大臣への届出が必要です。

「収集」に該当する情報の例:

  • 求職者の氏名・連絡先・経歴等を会員登録で取得
  • メールアドレス登録による求人情報配信のためのデータ取得
  • サイト内閲覧履歴(cookieによる追跡)の蓄積
  • 位置情報を使った求人レコメンドのためのデータ蓄積
  • 履歴書・職務経歴書等のアップロード機能

これらのいずれかでも該当すれば、特定募集情報等提供事業者として届出が必要です。

該当しないケース

逆に、以下のような事業は届出不要です。

  • 求人情報を掲載するだけで、求職者の登録機能がない
  • アクセス解析を行うが、個人を識別できない統計情報のみ
  • 求人企業のHPへリンクするのみで、応募・連絡は求人企業側で完結

具体的な該当例

サービス類型届出要否
会員登録型の求人サイト必要
ダイレクトリクルーティングサービス必要
求職者プロフィール登録機能のあるアプリ必要
求人情報を集約するアグリゲーションサイト(会員登録あり)必要
メールマガジンで求人情報を配信するサービス必要
求人情報を掲載するのみのHP(会員登録なし)不要
統計情報のみ提供するレポートサービス不要

判断に迷う場合は、厚生労働省・都道府県労働局の需給調整事業部署に確認するのが安全です。

人材紹介事業との違い

職業紹介事業・募集情報等提供事業・特定募集情報等提供事業の比較表
職業紹介事業・募集情報等提供事業・特定募集情報等提供事業の比較表

比較表

職業紹介事業(有料)募集情報等提供事業特定募集情報等提供事業
主な業務求人企業と求職者のあっせん求人・求職情報の提供求職者情報を収集して提供
規制許可制(厚生労働大臣)原則自由届出制(厚生労働大臣)
資産要件500万円以上なしなし
事業所要件20㎡以上、独立性確保なしなし
職業紹介責任者必須不要不要
法定帳簿求人・求職・手数料の3種不要(個人情報保護対応は必要)不要(個人情報保護対応は必要)
主な収益モデル成功報酬(手数料)掲載料・広告料掲載料・スカウト料・データ提供料
罰則無許可運営は懲役・罰金違反内容により異なる無届出は懲役・罰金

開業コストの違い

人材紹介事業(有料職業紹介事業)の開業には、許可申請費用14万円・資産500万円・事業所要件・職業紹介責任者の選任など、まとまった準備が必要です(開業ガイド参照)。

一方、特定募集情報等提供事業の届出は、書類提出と無料の届出受理のみで開始可能です。ただし届出後の運営ルール(個人情報の取扱、苦情処理体制等)は遵守が必要です。

手数料の取り方の違い

事業手数料の取り方
職業紹介事業求人企業から成功報酬(入社時に発生)。手数料表の公開義務あり
募集情報等提供事業掲載料・広告料・スカウト送信料等。入社時に手数料は取らない
特定募集情報等提供事業同上

「入社決定時に成功報酬を取る」のは職業紹介事業の特徴です。求人サイト的なサービスでありながら、入社決定時に成功報酬を取る運用は、実質的に職業紹介事業に該当するとして無許可運営とみなされるリスクがあります。

自社事業の判定フローチャート

自社事業の区分判定フローチャート(許可制・届出制・規制対象外)
自社事業の区分判定フローチャート(許可制・届出制・規制対象外)

以下のフローチャートで、自社事業がどの区分に該当するか確認できます。

Q1. 求人企業と求職者の間に立って、雇用関係の成立を積極的に取り持っているか?
   ├ Yes(面接調整・条件交渉・合否通知の仲介等を行う)→ 職業紹介事業(許可制)
   └ No → Q2へ

Q2. 求人情報または求職者情報を提供しているか?
   ├ Yes → Q3へ
   └ No → 雇用仲介事業に該当しない(広告業等)

Q3. 求職者の情報を「収集」して情報提供に使用しているか?
   (会員登録、メアド登録、閲覧履歴・位置情報の蓄積、プロフィール登録等)
   ├ Yes → 特定募集情報等提供事業(届出必要)
   └ No → 募集情報等提供事業(届出不要、運営ルール遵守は必要)

判定で「職業紹介事業」に該当する場合、有料職業紹介事業の許可申請が必要です。詳細は開業完全ガイドを参照してください。

両方の事業を行う場合の注意点

ダイレクトリクルーティングとの兼業

人材紹介事業を運営しながら、ダイレクトリクルーティング型のサービスも併設するケースは増えています。この場合、以下の整理が必要です。

サービス内容該当事業必要な手続き
候補者を発掘し、求人企業に推薦・面接調整・条件交渉まで行う職業紹介事業許可必要
求人企業が直接スカウトを送る場をプラットフォームとして提供特定募集情報等提供事業届出必要

両方を運営する場合、同じ法人で両方の手続きを行うことが可能です。許可と届出は別々の手続きであり、両方の規制(許可制と届出制)に同時に従う必要があります。

サービス設計のポイント

  • 「人材紹介サービス」と「ダイレクトリクルーティングサービス」のどちらに該当するか、サービスごとに区分を明確にする
  • 料金設定も区分ごとに分ける(成功報酬は紹介事業、月額・スカウト送信料は募集情報等提供事業)
  • 利用規約・契約書を事業区分ごとに用意する

届出の方法(特定募集情報等提供事業)

特定募集情報等提供事業の届出手続き5ステップ
特定募集情報等提供事業の届出手続き5ステップ

届出先と提出方法

項目内容
届出先厚生労働大臣(提出は都道府県労働局経由または電子申請)
提出方法e-Gov電子申請(推奨)または書面
手数料無料
申請から運用開始まで届出受理後、即時に事業可能

提出書類

主な提出書類は次のとおりです。

  • 特定募集情報等提供事業届出書(様式)
  • 法人の登記事項証明書(法人の場合)
  • 個人の住民票(個人事業主の場合)
  • 事業概要を説明する書類
  • 個人情報の管理体制を説明する書類

e-Gov電子申請はデジタル庁が運営する電子申請ポータルから手続き可能です。法人代表者または個人事業主のGビズIDが必要になります。

報告義務

特定募集情報等提供事業者は、毎年8月31日までに、当該年6月1日時点の事業状況について「特定募集情報等提供事業概況報告書」を作成し、厚生労働大臣へ提出する義務があります。

違反した場合の罰則

特定募集情報等提供事業の届出をせずに事業を行った場合、6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自社HPで「採用情報」を掲載しているだけでも、特定募集情報等提供事業の届出は必要ですか?

自社の採用情報を自社HPに掲載するだけであれば、職業安定法上の「募集情報等提供事業」には該当しません。これは「自社の労働者募集」であって、第三者の求人情報を提供しているわけではないからです。他社の求人情報を提供する段階で初めて募集情報等提供事業の対象になります。

Q2. 求人サイトを運営していて、入社決定時に成功報酬を受け取る運用は可能ですか?

入社決定時に成功報酬を受け取る運用は、実質的に職業紹介事業に該当すると判断される可能性が極めて高いです。職業紹介事業の許可なくこの運用を行うと無許可運営となり、罰則の対象になります。求人サイトモデルで運営する場合は、掲載料・スカウト送信料等の事前課金型に設計するか、職業紹介事業の許可を取得してください。

Q3. 特定募集情報等提供事業の届出と人材紹介の許可は、同時に保持できますか?

はい、同じ法人で両方の手続きを行い、両方の事業を同時に運営することは可能です。多くの大手人材会社はこの形を取っています。ただし、それぞれの規制を重複して遵守する必要があるため、社内ルールと業務フローを区分ごとに整備する必要があります。

Q4. 求人情報を掲載する際、「あっせん」と判断されないためのポイントは?

以下を避ければ、「情報提供」の範囲にとどまります。

  • 求人企業と求職者の間に立った日程調整・条件交渉を行わない
  • 採用合否の通知を仲介しない
  • 応募・問い合わせは求人企業側で完結させる
  • 求職者と求人企業が直接連絡できる仕組みにする

判断に迷う場合は、サービス設計の段階で労働局へ事前相談するのが安全です。

Q5. 届出をしたあと、事業内容を変更した場合の手続きは?

事業所所在地・代表者氏名等の届出事項に変更があった場合、変更日から30日以内に変更届を提出する必要があります。変更届の様式と提出先は新規届出と同じです。

Q6. 求人クローリングサイトを運営する場合、許可・届出のどちらが必要ですか?

クローリングで他社の求人情報を収集して提供する場合、募集情報等提供事業に該当します。さらに求職者の情報を収集(会員登録、メアド登録等)して提供する運用があれば、特定募集情報等提供事業として届出が必要です。クローリングを行う場合、求人企業の許諾を取得していないと著作権・契約上のトラブルにもなりやすいため、求人企業との提携契約を別途用意するのが実務上の標準です。

まとめ

雇用仲介ビジネスは、サービス内容によって**「許可必要」「届出必要」「規制対象外」**が分かれます。最大のポイントは以下の2つです。

  1. 「あっせん」を行うか — 行うなら職業紹介事業(許可必要)
  2. 求職者情報を収集するか — 収集するなら特定募集情報等提供事業(届出必要)

サービス開始前にこの2点をクリアにし、該当する手続きを必ず完了させてください。許可なく職業紹介事業を行うと1年以下の懲役または100万円以下の罰金、特定募集情報等提供事業を無届出で行うと6月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象になります。

人材紹介事業を新たに始める場合は、人材紹介業の開業完全ガイドで資産要件・事業所要件・許可申請の流れを確認してください。職業紹介責任者の選任については職業紹介責任者ガイドを参照できます。


事業区分ごとに求人・求職者・契約・手数料のデータをバラバラに管理していると、規制対応や監査での確認が煩雑になります。

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