【2026年版】職業紹介事業者の業務提携|同意・手数料・帳簿の役割分担
お役立ち情報

【2026年版】職業紹介事業者の業務提携|同意・手数料・帳簿の役割分担

2026年9月20日22分で読める

【2026年版】職業紹介事業者の業務提携|同意・手数料・帳簿の役割分担

職業紹介事業者の業務提携では、求人者・求職者の同意を提携先ごとに確認したうえで、明示・徴収・帳簿・報告の法令上の履行主体を確認し、一者が履行できる限定範囲だけを取り決めます。

契約書で役割を決めただけでは、求人・求職を提携先へ提供する準備は完了しません。提供前の明示と同意、提供後に各事業者へ残る義務、手数料を徴収する主体、帳簿と報告の限定的な分担を分けて設計する必要があります。本記事では、公的資料に示された義務と、確認しやすくするための任意の運用記録を区別して整理します。

職業紹介事業者間の業務提携とは|役割分担の早見表

職業紹介事業者間の業務提携は、受理した求人または求職を特定の他の事業者に提供し、提供先があっせんする取組です。同じ事業者の事業所間で情報を回す場合とは区別され、提携に参加する全事業者が適法に職業紹介事業を行えることが前提です。

業務履行する主体確認する記録
労働条件等の明示原則、求職を直接受理した事業者明示内容・明示日・担当者
提携先への提供に関する同意求人・求職を提供する事業者提携先別の同意・不同意
提供後の受理同意を得て提供を受けた提携先受理日・対象情報・例外の有無
手数料の徴収あっせんを行う事業者手数料の定め・徴収内容
帳簿の限定事項事業者間で取り決めた一者取扱状況・離職状況
事業報告等事業者間で取り決めた一者集計範囲・提出内容

この整理は、厚生労働省の「職業紹介事業の業務運営要領 第9 職業紹介事業の運営」の業務提携に関する項目に基づきます。右列の確認記録は、義務の履行状況を社内で照合するための運用例であり、同要領がこの名称や様式での記録を一律に定めているという意味ではありません。

提携元・提携先と明示・同意・徴収・記録の担当を整理した表
提携元・提携先と明示・同意・徴収・記録の担当を整理した表

提携元と提携先の許可・業務範囲を確認する

提携開始前に、相手方が許可または届出により適法に職業紹介事業を行えるか、許可番号、事業所、取り扱う職種や地域などの業務範囲を確認します。契約先が求人・求職を提供する側なのか、提供を受けてあっせんする側なのかも明確にします。提供側・あっせん側のどちらも職業紹介の全部または一部を行う主体であり、それぞれの取扱いに応じた義務を負います。

有料職業紹介事業者には業務提携に関する許可条件もあります。厚生労働省の職業紹介事業の業務運営要領 第14「通達様式集」所収の「有料職業紹介事業許可条件通知書」は、参加者の適法性、労働条件等の明示、事前同意、情報の分類、手数料などを掲げています。まず自社に交付された通知書を確認し、全体の読み方は許可条件通知書の読み方と併せて整理してください。

なお、提携先の明示事項は通知書の記載だけで網羅したと考えないことが重要です。現行の業務運営要領には、違約金等に関する事項や、取扱職種ごとの常用就職一件当たりの平均手数料率も含まれています。実施時点の要領と自社の通知書を照合し、古い確認項目をそのまま流用しないようにします。

情報を扱う全者・直接受理した事業者・取り決めた一者の役割
情報を扱う全者・直接受理した事業者・取り決めた一者の役割

全者に残る義務と一者が担う記録・報告を分ける

業務提携をしても、情報を扱う全事業者に残る義務があります。求人等に関する情報を的確に表示する義務は、その情報を扱う全事業者に及びます。求職者の個人情報の取扱いと守秘義務等も、個人情報や秘密を扱う全事業者に及びます。

また、業務提携に関わる全事業者には適格紹介の努力義務があります。契約で代表事業者を決めても、これらを他社だけの責任にはできません。

労働条件等の明示は、原則として求職を直接受理した事業者が行います。その事業者が廃止したことなどにより履行できない場合は、提携する他の事業者が履行します。一方、取り決めた一者が履行する範囲として明記されているのは、求人求職管理簿のうち取扱状況・離職状況に関する事項と、事業報告・実績等の情報提供です。全ての帳簿義務や情報管理義務を一者へ移す規定ではない点を切り分けます。

業務提携の明示・同意・受理を整える手順

求人者・求職者の同意は、提携契約の締結とは別に確認します。提供前に提携先の情報を明示し、その相手への提供に同意した情報だけを渡す流れを作ります。

ステップ1 提携先の情報を明示して個別に同意を確認する

求人または求職を提供する前に、求人者または求職者へ提携内容を明示します。現行の業務運営要領では、提携先の事業所名・所在地・許可番号等に加え、取扱職種の範囲、手数料、苦情処理、個人情報、返戻金制度、違約金等、就職者数や離職状況、平均手数料率などが明示事項として挙げられています。必要に応じて実施地域、件数の多い職種、年齢、賃金、雇用形態等も示します。

そのうえで、提携先ごとに同意または不同意を選べるようにします。一度に複数社を提示する方法も使えますが、一度に意思を確認する提携先は当面10以内です。これは一回の意思確認で提示する数の基準であり、提携契約を結べる総事業者数の上限ではありません。十社を超える提携先がある場合、運用上の一案として確認単位を分けるときも、各社への意思が特定できる設計にします。

労働条件の伝達と明示の実務は職業紹介の労働条件明示、求職者から個人情報の取扱いについて確認する文面は求職者個人情報取扱同意書の書き方も参考になります。ただし、一般的な個人情報同意を得たことだけで、提携先ごとの提供同意に代えたとは扱わず、相手先を特定して確認します。

提携先の情報を事前に明示し提携先ごとの同意を確認する流れ
提携先の情報を事前に明示し提携先ごとの同意を確認する流れ

ステップ2 同意した求人・求職と不同意の情報を分ける

業務運営要領は、提携先への提供に同意する求人・求職と、それ以外の求人・求職を分類して管理するよう求めています。不同意の提携先へ情報を渡さないよう、求人・求職それぞれについて、提供可能な相手を判別できる状態にします。同意を得て提供した場合、提携先は法令上の不受理が認められる場合を除き、原則としてその求人または求職を受理します。

法令上の分類管理とは別に、実務上は「明示した情報の版」「意思確認日」「対象となる求人・求職」「提携先別の同意・不同意」「提供日」「受理結果」を対応させて残すと照合しやすくなります。これらの欄名は任意の運用提案であり、法定様式として定められたものではありません。明示事項や提携先が変わったときに再確認する基準も、社内手順として決めます。

求職情報は、同意の有無だけでなく、正確かつ最新に保つ措置や、漏えい・滅失・毀損を防ぐ措置も必要です。提携先で不正確または古い情報が見つかった場合は、直接受理した事業者へ速やかに通知し、適切な措置が講じられなければ当該情報の提供を中止します。この対応に使う連絡経路もあらかじめ確認します。

同意した求人・求職と不同意の情報を提携先別に分類する図
同意した求人・求職と不同意の情報を提携先別に分類する図

提携紹介の手数料・帳簿・報告を照合する

求人・求職の流れを決めたら、手数料の徴収と事後配分を混同せず、帳簿・報告について一者が履行できる範囲を限定して取り決めます。

手数料を徴収する事業者と事後の配分を区別する

業務提携による有料職業紹介で手数料を徴収するのは、あっせんを行う職業紹介事業者です。徴収額は、そのあっせん事業者自身の手数料の定めの範囲内とします。求人・求職を受理して他社へ提供しただけで、自らあっせんしない事業者が先に紹介手数料を徴収する、という整理にはなりません。

一方、あっせん事業者が徴収した後、有料職業紹介事業者間で手数料を事後的に配分することは認められています。徴収主体と配分先は別の論点です。配分率や相場は公的資料で一律に定められていないため、この記事では数値を設定しません。実務では、配分条件、精算時期、返戻が生じた場合の扱い、照合資料を契約で明確にする方法が考えられますが、これは当事者間の運用設計です。

徴収した手数料と帳簿の関係を確認するときは、手数料管理簿の書き方も参照し、実際に徴収した主体・金額と、事後配分の精算記録を混ぜずに照合します。

取扱状況・離職状況と事業報告の担当を合わせる

事業者間で一者を取り決めて履行できるのは、求人求職管理簿のうち職業紹介の取扱状況・離職状況に関する事項と、職業紹介事業報告および実績等の情報提供です。運用上は、誰が求人・求職を直接受理したか、誰があっせんしたか、誰が就職後の状況を確認するかを結び、取り決めた一者へ必要情報が届くようにします。

任意の運用表には、「情報を作る事業者」「確認する事業者」「集約する一者」「集約期限」「差異の照会先」を置くと、提出直前の不足を見つけやすくなります。ただし、これは法定の様式ではありません。また、一者を決めたことを理由に、各事業者が担う情報の的確表示、個人情報管理、守秘義務等までなくなるわけではありません。

事業報告の集計項目や提出の流れは職業紹介事業報告書の書き方で確認し、提携分の二重計上や集計漏れが生じないよう、役割分担を定めます。厚生労働省の「職業紹介事業の業務運営要領 第9 職業紹介事業の運営」で認められた限定範囲と、社内で追加する照合手順を分けて文書化してください。

手数料の徴収から帳簿の限定事項と事業報告を照合する流れ
手数料の徴収から帳簿の限定事項と事業報告を照合する流れ

提携紹介の記録を照合する土台として、求人・求職・成約情報をそろえましょう。人材HUBでは、これらの情報を一元管理できます。

よくある質問

複数の提携先への同意をまとめて確認できますか?

提携先ごとに同意または不同意を示せる方法であれば、一度に複数の提携先への意思を確認できます。ただし、当面、一度に意思を確認する提携先は10以内です。総提携先数を10社以内にするという意味ではありません。根拠は厚生労働省の「職業紹介事業の業務運営要領 第9 職業紹介事業の運営」の第9・7(5)ロ、ハです。

提携紹介の手数料は誰が徴収しますか?

あっせんを行う職業紹介事業者が、自らの手数料の定めの範囲内で徴収します。徴収後に、有料職業紹介事業者間で事後的に配分することは認められています。徴収と配分を同じ処理として扱わず、請求者、徴収額、配分額を区別します。根拠は厚生労働省の「職業紹介事業の業務運営要領 第9 職業紹介事業の運営」の第9・7(8)です。

帳簿と事業報告は提携先が全て担当してよいですか?

全てを移せるわけではありません。取り決めた一者が履行するのは、求人求職管理簿のうち取扱状況・離職状況に関する事項と、事業報告・実績等の情報提供です。各事業者に残る他の義務と区別してください。根拠は厚生労働省の「職業紹介事業の業務運営要領 第9 職業紹介事業の運営」の第9・7(9)と、厚生労働省の「有料職業紹介事業許可条件通知書」の許可条件5(2)です。

まとめ|確認事項を業務と記録に反映する

職業紹介事業者間の業務提携では、提供前に提携先の情報を明示し、求人者・求職者が提携先ごとに同意または不同意を示せるようにします。提供後も、情報の的確表示、個人情報の取扱い、守秘義務等は情報を扱う全事業者に残ります。

手数料はあっせん事業者が徴収し、その後の事業者間配分と分けて管理します。帳簿・報告は、一者が履行できる限定範囲だけを取り決めます。公的資料で定められた義務と任意の照合記録を分け、提携先や明示事項の変更時に見直せる運用へ整えましょう。

人材HUBの資料を請求する

まずは無料で製品を体験してください

求職者・クライアント管理、法定帳簿の自動生成、事業報告書の出力までこれ1つで。月額2,980円〜/名(6名以上・税込)。

関連記事