
求職者個人情報取扱同意書の書き方|必須記載事項とテンプレート
求職者個人情報取扱同意書には「利用目的」「収集する情報の範囲」「第三者提供(企業への共有)への同意」の3点を明記する必要があります。この3点が欠けると、求人企業への候補者情報の共有が本人同意のない第三者提供とみなされ、職業紹介業務そのものが止まりかねません。
有料職業紹介では、履歴書・職務経歴書・希望条件といった機微を含む個人情報を日常的に扱います。ところが「登録時に同意書は取っているが、何を書けば法的に足りるのか」が曖昧なまま運用している事業者は少なくありません。
本記事は、職業安定法第5条の5と厚生労働省「求職者等の個人情報の取扱いに関する指針」を根拠に、同意書という書面そのものに絞って必須記載事項・収集情報の区分・テンプレ項目を整理します。保管の安全管理措置や廃棄・漏洩対応の総論は求職者の個人情報保護と適正管理の実務で扱います。
結論:同意書は「利用目的」「収集範囲」「第三者提供同意」の3点で作る
求職者個人情報取扱同意書とは、収集した個人情報を「何の目的で」「どの範囲まで」「誰に提供するか」について本人の同意を証跡として残す書面です。
法律上「同意書」という様式が定められているわけではありませんが、個人情報保護法が求める利用目的の明示と、求人企業への情報提供(第三者提供)の同意取得を1枚で満たす実務上の標準がこの書面です。まず次の早見表で全体像を押さえてください。
| 記載要素 | 何を書くか | 根拠 |
|---|---|---|
| 利用目的 | 職業紹介・求人企業への推薦など、利用する目的 | 個人情報保護法(利用目的の特定・明示) |
| 収集範囲 | 収集する情報項目と、機微情報を扱わない旨 | 職業安定法第5条の5・同指針 |
| 第三者提供同意 | 求人企業へ氏名・経歴等を共有することへの同意 | 個人情報保護法(第三者提供の制限) |
| 同意日・撤回方法 | 取得年月日と、同意撤回の窓口 | 同意の証跡・適正管理 |
求職者個人情報取扱同意書に何を書くべきか(記載必須事項)

同意書の核は「求職者が、自分の情報が何にどこまで使われるかを理解したうえで同意した」という事実を残すことです。抽象的な包括同意ではなく、目的と範囲を具体的に書くほど証跡としての価値が上がります。
利用目的の記載
利用目的は「職業紹介サービスの提供のため」と一言で済ませず、実際の業務フローに沿って具体化します。求人企業への推薦、面接調整、内定後の入社支援、統計データとしての分析など、想定する使い道を列挙するのが基本です。個人情報保護法は利用目的をできる限り特定して本人に明示することを求めており、後から目的を追加する場合はあらためて同意が必要になります。
収集する情報の範囲の明記
同意書には、収集する情報の項目をカテゴリで示します。氏名・連絡先などの基本情報、学歴・職歴・保有資格などの経歴情報、希望職種・希望勤務地・希望年収などの希望条件が代表例です。あわせて、後述する機微情報は原則として収集しない旨を明記しておくと、求職者の不安を下げつつ、社内の収集ルールの歯止めにもなります。
収集してよい情報・原則収集しない情報の区分

職業安定法第5条の5と厚生労働省の指針は、職業紹介事業者が「業務の目的の達成に必要な範囲」を超えて個人情報を収集してはならないと定めています。次の区分表は、この原則を実務の判断に落とし込むために、職業安定法第5条の5と同指針の規定をもとに情報項目を整理したものです。
収集してよい情報(基本セット)
| 区分 | 具体例 | 収集の可否 |
|---|---|---|
| 基本情報 | 氏名・連絡先・生年月日 | 収集可(業務に必要な範囲) |
| 経歴情報 | 学歴・職歴・保有資格 | 収集可 |
| 希望条件 | 希望職種・勤務地・年収 | 収集可 |
紹介業務の遂行に必要な情報は、利用目的の範囲内で収集できます。ポイントは「必要だから集める」を都度説明できる状態にしておくことです。使う予定のない情報まで欄を設けないことが、後述するトラブルの予防になります。
原則収集しない機微情報
| 区分 | 具体例 | 取扱い |
|---|---|---|
| 社会的差別の原因となる事項 | 人種・民族・本籍地・門地 | 原則収集しない |
| 思想・信条 | 支持政党・宗教・人生観 | 原則収集しない |
| 労働組合への加入状況 | 加入の有無・活動歴 | 原則収集しない |
| 要配慮個人情報 | 病歴・健康診断結果 | 本人同意なく取得しない |
指針は、社会的差別の原因となるおそれのある事項・思想信条・労働組合への加入状況について、特別な職業上の必要性がある等の場合を除き収集しないよう求めています。同意書に病歴や家族構成の記入欄を安易に設けると、この原則に反するおそれがあります。
同意取得のタイミングと方法

同意は「情報を収集する前」に取得するのが原則です。求職者の登録受付と同時、あるいは登録フォーム送信の直前に同意の意思表示を得ることで、収集を開始する時点から適法な状態を保てます。
書面/Web登録フォームでの取得
紙の同意書に署名・押印をもらう方法のほか、Web登録フォームのチェックボックスで同意を得る電磁的方法も有効です。オンラインで取得する場合は、同意した内容(利用目的・収集範囲・第三者提供)と、同意日時、提示した規約の版を必ず記録します。文面を更新したのに旧版のまま同意を取り続けると、実際の運用と同意内容がずれてしまいます。
同意取得のタイミングを取りこぼさないために、人材HUBは初回登録フローの中で同意項目を必須化できます。書面とWebフォームのどちらで取得したかも記録できるため、後から「いつ・どの方法で同意を得たか」を追跡しやすくなります。
同意が得られなかった場合の扱い
第三者提供への同意が得られない場合、求人企業へ候補者情報を共有できないため、そのままでは紹介業務を進められません。ただし、利用目的や共有先を限定した部分的な同意であれば取得できる余地があります。全部か無かで判断せず、どの範囲なら同意を得られるかを求職者と確認するのが実務的です。
同意書テンプレートの項目チェックリスト

自社の同意書を作る・見直す際は、次の項目がそろっているかを確認します。これは職業安定法の指針と個人情報保護法の要請を、書面の構成要素に落とし込んだチェックリストです。
記載項目チェックリスト
| 項目 | 記載の要点 |
|---|---|
| 事業者名・許可番号 | 誰が取得する情報かを明示 |
| 利用目的 | 推薦・面接調整などを具体的に列挙 |
| 収集する情報の範囲 | カテゴリで明示し機微情報は除外 |
| 第三者提供の範囲 | 求人企業への共有内容と目的 |
| 保管・廃棄の方針 | 保管期間と廃棄方法の概要 |
| 同意撤回の方法 | 撤回の窓口と手続き |
| 同意日・署名欄 | 取得年月日と本人の意思表示 |
保管・版管理の実務
同意書は取得して終わりではなく、求職者ごとに「どの版の文面で・いつ同意を得たか」を紐づけて保管します。求職者情報は求職管理簿にも記録するため、同意状況と帳簿を別管理にすると突合が煩雑になります。法定帳簿の記載項目や保存期間は人材紹介の法定帳簿の作り方で解説しています。
人材HUBでは、求職者登録の入力項目に利用目的・収集範囲・第三者提供への同意チェックを組み込み、同意取得日をレコードとして保持します。日々の登録がそのまま求職管理簿の記録につながるため、同意状況と帳簿の突合を別々に管理する手間を減らせます。
よくある同意書運用のミス

同意書は形式が整っていても、中身が実務と噛み合っていないと機能しません。現場で起こりがちな2つのミスを押さえておきます。
目的外項目が混在するミス
「念のため」で家族構成・既往歴・信条にかかわる欄を設けてしまうケースです。使う予定のない情報を集めると、必要な範囲を超える収集として指針に抵触するおそれがあり、漏洩時のリスクも無用に増やします。欄を作る前に「その情報を何の業務に使うか」を説明できるか自問するのが歯止めになります。
同意書と実運用が乖離するミス
同意書には「求人企業への提供」としか書いていないのに、実際には提携先のスカウト媒体にも情報を渡している、といった乖離です。同意の範囲を超えた提供は第三者提供のルール違反になりかねません。紙とファイルで情報が散在すると乖離に気づきにくいため、候補者管理ツールで同意範囲と実際の共有先を一元管理すると検知しやすくなります。
まとめ
求職者個人情報取扱同意書は、「利用目的」「収集範囲」「第三者提供同意」の3点をそろえることが出発点です。加えて、機微情報を収集しない区分の明示、取得タイミングと方法の記録、版管理までを設計して初めて、証跡として機能します。
同意書は一度作れば終わりではなく、文面の更新と取得記録の管理を続ける運用そのものが重要です。日々の求職者登録と同意取得・帳簿記録を分断せず、ひとつの流れとして仕組み化することが、監査にも求職者の信頼にも応える近道になります。
同意取得と帳簿管理を1つの流れに
人材HUBは有料職業紹介に特化したCRMです。求職者登録の中で同意項目を必須化し、求人管理簿・求職管理簿・手数料管理簿の記録まで一気通貫でつなぎます。
料金・機能の詳細や無料での製品体験については、お問い合わせからご案内しています。
よくある質問(FAQ)
求職者個人情報取扱同意書は法律上必須ですか
「同意書」という様式そのものは法律で義務付けられていませんが、個人情報保護法は利用目的の明示を求め、第三者提供には原則として本人同意を必要とします。職業紹介では求人企業への情報提供が第三者提供にあたるため、同意を書面やWebで記録しておくことが実務上必須です。職業安定法第5条の5も、求職者等の個人情報の適正な管理を義務づけています。
同意書に病歴や家族構成を書く欄を作ってよいですか
原則として避けるべきです。病歴は個人情報保護法の要配慮個人情報にあたり、本人同意なく取得できません。家族構成も、紹介業務の目的達成に必要な範囲を超える収集となりやすく、厚生労働省の指針が定める収集制限の趣旨に反するおそれがあります。業務上どうしても必要な場合に限り、目的を明示して個別に同意を得ます。
Web登録フォームでの同意取得は書面に代えられますか
代えられます。チェックボックスなどによる電磁的方法での同意も有効です。ただし、同意した利用目的・収集範囲・第三者提供の内容、同意日時、提示した規約の版を記録として残すことが条件です。文面を更新した際は、新しい版で再取得するかどうかを判断します。
同意を得られない求職者は紹介できませんか
第三者提供への同意が得られなければ、求人企業へ情報を共有できないため紹介は困難です。ただし、利用目的や共有先を限定した範囲での同意であれば得られることもあります。全面的に不可とせず、どの範囲なら同意可能かを確認したうえで、対応可能な業務範囲を判断します。
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