
【2026年版】有料職業紹介の合併・会社分割・事業譲渡|許可手続の分岐
【2026年版】有料職業紹介の合併・会社分割・事業譲渡|許可手続の分岐
有料職業紹介事業の合併・会社分割・事業譲渡では、再編方式と関係法人の許可保有状況を確認して、新規許可申請や変更の届出を判断します。
「M&Aなら許可をそのまま引き継げる」「存続法人があるから変更届だけでよい」と一律には判断できません。吸収合併では存続法人が許可を持つかで分かれ、新設合併には原則と例外的な取扱いがあります。会社分割と営業譲渡・譲受は、業務運営要領が示す準用先を確認します。
本記事では、許可手続の分岐と事前申請の取扱いを整理します。税務、売却条件、契約や個人情報が自動的に承継されるかは、指定資料だけでは一律に結論づけられないため、許可とは別の確認事項として扱います。
組織再編時の有料職業紹介許可とは|方式別の早見表
組織再編時の職業紹介許可手続は、法人の存続・新設や営業の引継ぎに伴い、事業を行う主体の許可を確認する手続です。厚生労働省の「職業紹介事業の業務運営要領 第7 その他の手続等」に沿って、再編方式と許可状況を組み合わせて確認します。
| 区分 | 再編方式 | 法人の許可状況 | 手続 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 公的資料上の取扱い | 吸収合併 | 存続法人が無許可 | 新規許可申請 | 第7 3(1)イ |
| 公的資料上の取扱い | 吸収合併 | 存続法人が許可済み | 新規許可は不要、名称等の変更は変更届 | 第7 3(1)ロ |
| 公的資料上の取扱い | 新設合併 | 原則 | 新規許可申請 | 第7 3(2)イ |
| 公的資料上の取扱い | 新設合併 | 合併する全法人が許可済み | 新規許可不要、名称等変更は変更届、新設事業所は所定の届出 | 第7 3(2)ロ |
| 公的資料上の取扱い | 新設分割 | 分割新設法人が事業を行う | 新規許可申請 | 第7 4(1) |
| 公的資料上の取扱い | 吸収分割 | 既存法人が営業を承継 | 新設分割に準じて確認 | 第7 4(2) |
| 公的資料上の取扱い | 営業譲渡・譲受 | 譲受側を含む許可状況を確認 | 吸収合併に準じて確認 | 第7 3(4) |

再編日だけでなく、許可申請や変更届の準備時期も職業紹介事業者の年間スケジュールへ反映し、事業を行う法人と許可の対応を再編前に確かめます。
吸収合併・新設合併は関係法人の許可状況で分岐する
吸収合併で、消滅法人は有料職業紹介事業の許可を持つ一方、合併後の存続法人が許可を持たない場合、存続法人による新規許可申請が必要です。許可期間の空白を避けるため、合併を議決した株主総会議事録など、合併が確実に行われることを確認できる書類を添え、存続法人が事前に申請する取扱いも示されています。
存続法人がすでに職業紹介事業の許可を持つ場合は、新規許可申請は不要です。ただし、合併で法人の名称などが変わる場合は変更届を行います。また、合併する全法人が職業紹介事業を行う事業所を有する場合は、消滅法人側も新規許可申請は不要です。名称などが変われば変更届を行い、新しい事業所を設ける場合は所定の届出を行います。
新設合併は、合併する法人が全て解散して新法人を設立するため、原則として新法人の新規許可申請が必要です。ただし、合併する法人が全て職業紹介事業の許可を持つ場合は、新規許可申請を不要とする例外的な取扱いがあります。この場合も、名称などが変われば変更届を行い、新しい事業所を設ける場合は所定の届出を行います。例外を「契約や情報まで自動承継する」と読み替えず、関係法人の許可と事業所を管轄の都道府県労働局へ示して確認します。

会社分割と事業譲渡はそれぞれの準用先を確認する
新設分割では、分割する法人が許可を持っていても、分割新設法人が職業紹介事業を行う場合は新規許可申請が必要で、新設合併の原則に準じて取り扱います。吸収分割は、既存の他法人が営業を承継する方式ですが、業務運営要領は新設分割に準じるとしています。吸収合併の「存続法人が許可済みなら変更届」という結論を、そのまま流用しません。
事業譲渡について、同要領は「営業譲渡、譲受」と表記し、吸収合併の場合に準じた取扱いとしています。譲受法人が許可を持つか、どの事業所で紹介事業を行うかを確認し、吸収合併のどの分岐に対応するかを管轄の都道府県労働局へ相談します。
この整理は職業紹介の許可手続についてのものです。会社法上の効力、契約上の地位、個人情報、税務、譲渡価格の扱いまで同じ結論になることを意味しません。
組織再編の許可手続を確認する手順
手続を確認するときは、再編方式の名称だけで結論を出さず、再編前後の法人、許可、事業所を一枚の図に整理します。そのうえで、再編日と許可手続の日程を照合します。
ステップ1 存続・新設法人と許可保有状況を図にする
最初に、再編前の各法人について、法人名、存続・消滅・分割・譲渡の別、職業紹介事業の許可の有無、許可を受けている事業所を並べます。再編後は、実際に職業紹介事業を行う法人と事業所を別枠にします。「事業を引き継ぐ法人」と「許可を持つ法人」が一致しているかが分岐の出発点です。
次の表は、業務運営要領の分岐と、事前にそろえる任意の確認資料を対応させた編集表です。統計や顧客事例ではなく、個別案件への適用は管轄の都道府県労働局へ確認します。
| 区分 | 再編方式 | 存続・新設法人 | 関係法人の許可状況 | 手続 | 要領の該当節 | 事前確認資料 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 公的資料上の取扱い | 吸収合併 | 存続法人 | 許可なし | 新規許可申請 | 第7 3(1)イ | 法人・許可・事業所の一覧 |
| 公的資料上の取扱い | 吸収合併 | 存続法人 | 許可あり | 新規許可不要、変更時は変更届 | 第7 3(1)ロ | 変更後の法人情報 |
| 公的資料上の取扱い | 新設合併 | 新法人 | 原則 | 新規許可申請 | 第7 3(2)イ | 新法人の予定情報 |
| 公的資料上の取扱い | 新設合併 | 新法人 | 全法人が許可あり | 新規許可不要、変更・新設事業所は所定届出 | 第7 3(2)ロ | 全法人の許可と事業所一覧 |
| 公的資料上の取扱い | 新設・吸収分割 | 分割新設法人・承継法人 | 分割法人を含めて確認 | 第7 4(1)または4(2)に沿う | 第7 4(1)・(2) | 分割前後の法人・事業所一覧 |
| 公的資料上の取扱い | 営業譲渡・譲受 | 譲受法人 | 譲受法人を含めて確認 | 第7 3(1)に準じる | 第7 3(4) | 譲渡前後の法人・事業所一覧 |
| 任意の運用確認項目 | 全方式 | 再編後に事業を行う法人 | 許可番号と対象事業所を照合 | 確認結果を記録 | 該当節を記録 | 確認日・確認者・相談事項 |

ステップ2 再編日と許可・届出の日程を事前に照合する
新規許可が必要な分岐では、再編後に職業紹介事業を始める予定日と、許可申請の準備を始める時点を並べます。吸収合併で許可のない存続法人が事業を行う場合、業務運営要領には、合併が確実であることを確認できる株主総会議事録等を添えた事前申請の取扱いがあります。合併日と同日付けの許可を可能にし、許可期間の空白を避けるための取扱いです。
新設合併で新規申請する場合も同様の事前手続とされますが、申請時には新法人が存在しないため、新法人の予定に基づいて申請書等を記載し、設立後に予定どおり設立された旨を報告します。必要書類や個別日程は事前相談で確認し、有料職業紹介事業の許可申請書の書き方も参照してください。

許可済みの存続法人で名称などが変わる場合は、変更届の準備日を再編工程に置きます。事前申請の取扱いを全ての組織再編へ一律に当てはめず、方式と該当節を示して管轄の都道府県労働局へ確認してください。
組織再編に伴う案件と文書の確認を進める
許可の分岐を確認した後は、申請・届出に使う法人情報と、再編後に扱う案件・文書を分けて整理します。許可手続の結論だけで、契約や情報の承継まで決めないことが重要です。
変更後の法人情報と申請内容を照合する
再編後の法人名、所在地、代表者、役員、職業紹介責任者、事業所を、許可申請または変更届の記載と照合します。吸収合併の事前申請で、事業開始予定日まで、または事業開始予定日付けでこれらが変わり、株主総会議事録等で確認できる場合は、許可申請書へ変更後の内容を記載し、変更後すぐに申請内容と相違がなかったことを報告する取扱いが示されています。
存続法人が許可済みで法人名などが変わる場合の手続は、職業紹介事業の変更届出ガイドも参照してください。個人事業の法人化は合併・会社分割とは別の論点であるため、法人成りの許可と廃止の順序と混同しないようにします。
任意の照合表には、再編前後の値、申請書への記載、根拠資料、確認者、労働局に確認した事項を分けて残します。この表自体を法定様式や法定の保存事項として扱わないでください。
契約・求人・求職・成約の引継ぎ対象を整理する
業務運営要領の第7 3・4は許可申請等の取扱いを示しますが、個々の契約、求人・求職・成約情報、個人情報が再編によって自動的に承継されるという一律の結論までは示していません。契約当事者、利用目的、同意内容、保管主体、アクセス権などを案件ごとに確認し、必要に応じて法務・個人情報保護の専門家へ相談します。
職業紹介の記録については、再編前後でどの法人・事業所が記録の主体になるかを確認します。求人管理簿、求職管理簿、手数料管理簿の全体像は、人材紹介の法定帳簿ガイドを参照してください。社内の引継ぎ一覧には、対象案件、現在の管理主体、再編後の確認先、未確認事項を設ける方法が考えられますが、これは任意の運用提案です。

引継ぎ対象を確認したら、今後の紹介情報の管理方法も整えましょう。人材HUBでは、求人・求職・成約情報を一元管理できます。
よくある質問
許可のない存続法人が吸収合併で紹介事業を引き継ぐ場合はどうしますか?
厚生労働省の「職業紹介事業の業務運営要領 第7 その他の手続等」の3(1)イによると、存続法人が許可を持たない場合は新規許可申請が必要です。許可の空白を避けるため、合併を確認できる株主総会議事録等を添え、存続法人が事前に許可申請する取扱いがあります。具体的な日程と書類は管轄の都道府県労働局へ確認してください。
新設合併は必ず新規許可申請になりますか?
原則は新規許可申請です。ただし、同要領の第7 3(2)ロは、新設合併する法人が全て職業紹介事業の許可を持つ場合を例外とし、新規許可申請を不要としています。名称などが変わる場合は変更届、新しい事業所を設ける場合は所定の届出が必要です。契約や個人情報まで一律に自動承継すると表現せず、関係法人の許可状況と事業所を整理して確認します。
会社分割も吸収合併と同じ表で判断できますか?
同じ結論をそのまま使いません。同要領の第7 4(1)は、新設分割で分割新設法人が職業紹介事業を行う場合に新規許可申請が必要とし、4(2)は吸収分割を新設分割に準じて取り扱うとしています。具体的な再編内容を管轄の都道府県労働局へ確認してください。
まとめ|確認事項を業務と記録に反映する
合併・会社分割・事業譲渡の許可手続は、方式、再編後に事業を行う法人、関係法人の許可状況を並べて判断します。吸収合併、新設合併、会社分割、営業譲渡・譲受の準用先を分け、新規許可、変更届、例外的な取扱いを一つずつ確認してください。
許可手続と、契約・個人情報・求人・求職・成約の承継判断は同じではありません。再編日から逆算して管轄の都道府県労働局へ相談し、許可・法人情報・案件の確認結果を記録へ反映しましょう。
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