
人材紹介の契約書テンプレート|紹介基本契約・手数料規定の作り方
「求人企業と契約するとき、どんな契約書が必要?」 「契約書のテンプレートはあるけど、これで問題ないか不安」
人材紹介業を始めるにあたって、求人企業との契約書(紹介基本契約書)の整備は必須です。口頭での合意だけでは、手数料の支払いトラブルや返金をめぐる紛争が発生したとき、証拠がなく不利になります。
しかし、弁護士に依頼すると数十万円のコストがかかります。本記事では、紹介基本契約書に最低限必要な条項と、2025年法改正で追加された義務を解説します。
人材紹介で必要な契約書の種類
人材紹介業で締結する主な契約書は以下の3種類です。
| 契約書 | 締結相手 | 内容 |
|---|---|---|
| 紹介基本契約書 | 求人企業 | 紹介サービスの基本的な取引条件を定める |
| 求人申込書(個別契約) | 求人企業 | 個別の求人案件ごとの条件を定める |
| 登録同意書(個人情報同意書) | 求職者 | 個人情報の取扱い・紹介サービスの利用規約 |
本記事では、最も重要な紹介基本契約書を中心に解説します。
紹介基本契約書の必須条項
条項1: 契約の目的・定義
契約の目的と、契約書内で使用する用語の定義を明記します。
定義すべき用語:
- 「紹介」とは何か(求職者の推薦から採用決定まで)
- 「成約」の定義(求職者が入社した時点か、内定承諾した時点か)
- 「求職者」の範囲(紹介した候補者と、企業が直接接触した場合の扱い)
特に重要なのは、「紹介」の範囲をどこまでとするかです。以下のケースをカバーする条項を入れましょう。
- エージェントが推薦した候補者を、企業が不採用にした後、別のルート(直接応募等)で採用した場合
- エージェントが推薦した候補者を、企業が「今は不要」と見送った後、6ヶ月以内に直接採用した場合
条項2: 紹介手数料
手数料に関する条項は、契約書の核心部分です。
明記すべき事項:
- 手数料率(年収の○○%)
- 手数料の算定基準(想定年収の定義: 基本給+賞与+手当の範囲)
- 手数料の上限・下限(設定する場合)
- 消費税の取扱い
手数料率の設計方法は手数料相場ガイドで詳しく解説しています。
条項3: 支払条件
手数料の支払いタイミングと方法を明記します。
一般的な設定:
- 支払いタイミング: 求職者の入社日の属する月の翌月末
- 支払い方法: 銀行振込(振込手数料は求人企業負担)
- 請求書の発行: エージェントが入社確認後に発行
注意: 「内定承諾時に支払い」とすると、入社前に候補者が辞退した場合に返金トラブルになりやすいです。入社日基準にするのが安全です。
条項4: 返金規定
紹介した求職者が早期退職した場合の返金条件を明記します。
返金テーブルの例:
| 退職時期 | 返金率 |
|---|---|
| 入社後1ヶ月以内 | 手数料の80%返金 |
| 入社後1〜3ヶ月以内 | 手数料の50%返金 |
| 入社後3〜6ヶ月以内 | 手数料の20%返金 |
| 入社後6ヶ月以降 | 返金なし |
また、以下の返金除外条件も明記しておきましょう。
- 企業都合の解雇(リストラ、事業縮小等)
- 企業が提示した就業条件と実際の条件が異なっていた場合
- 企業側のハラスメント等が原因の退職
返金規定の詳しい設計方法は返金規定トラブル対策ガイドをご覧ください。
条項5: 個人情報の取扱い
求職者の個人情報の取扱いに関する条項は、法的にも非常に重要です。
明記すべき事項:
- 求職者の個人情報は採用選考の目的にのみ使用する
- 求人企業は個人情報を第三者に提供しない
- 不採用の場合、求職者の個人情報を速やかに破棄する
- 個人情報の管理責任(漏洩が発生した場合の責任)
条項6: 紹介候補者の直接接触禁止
エージェントが紹介した候補者に対して、求人企業がエージェントを介さずに直接接触・採用することを禁止する条項です。
一般的な設定:
- 紹介日から12ヶ月以内に、企業が直接または他のエージェント経由で採用した場合、手数料を請求できる
- 「紹介した候補者リスト」を双方で管理する
条項7: 機密保持
企業の非公開情報(事業計画、経営情報、給与水準等)と、求職者の個人情報の機密保持を定めます。
条項8: 契約期間・解約
- 契約期間: 1年間、自動更新
- 解約: 書面による○ヶ月前の通知で解約可能
- 解約後も、紹介済みの候補者に関する権利は存続する
条項9: 損害賠償・免責
- エージェントが紹介した候補者の行為によって企業に損害が生じた場合の責任範囲
- エージェントの責任は手数料額を上限とする(上限条項)
- 候補者の経歴詐称等、エージェントが知り得なかった事項についての免責
条項10: 反社会的勢力の排除
現在のビジネス契約では標準的な条項です。双方が反社会的勢力ではないことを表明し、該当する場合は即時解除できる旨を定めます。
求人申込書(個別契約)に記載すべき事項
紹介基本契約とは別に、個別の求人案件ごとに求人申込書を取り交わすのが一般的です。
記載事項:
- 求人ポジション名・業務内容
- 必要スキル・経験・資格
- 雇用形態(正社員・契約社員等)
- 想定年収(手数料の算定基準となるため正確に)
- 勤務地・勤務時間
- 採用人数・採用予定時期
- 手数料率(基本契約と異なる場合)
2025年法改正で追加された義務
違約金規約の事前明示義務(2025年4月施行)
2025年4月の法改正により、以下の義務が追加されました。
求人企業に対して、契約締結前に違約金に関する定め(返金規定含む)を書面で明示する義務
これは、紹介基本契約書を締結する前の段階で、手数料・返金規定の概要を書面で伝えなければならないことを意味します。
対応方法:
- 営業時に「手数料体系・返金規定のご案内」という書面を用意し、契約書の締結前に交付する
- 契約書自体にも返金規定を明記する(従来通り)
手数料実績の公開義務(2025年4月施行)
紹介手数料の実績を人材サービス総合サイトに掲載する義務が追加されました。
掲載すべき情報は以下のとおりです。
- 手数料の種類(成功報酬型/届出制手数料)
- 手数料率
- 紹介実績の概要
契約書作成時のチェックリスト
紹介基本契約書を作成・確認する際の最終チェックリストです。
基本条項:
- 契約の目的・定義が明確
- 手数料率・算定基準が明記
- 支払条件(タイミング・方法)が明記
- 返金規定(退職時期別の返金率)が明記
- 返金除外条件が明記
- 個人情報の取扱いが明記
- 直接接触禁止条項がある
- 機密保持条項がある
- 契約期間・解約条件が明記
- 損害賠償・免責条項がある
- 反社排除条項がある
2025年法改正対応:
- 契約締結前に手数料・返金規定を書面で明示する運用を整備
- 人材サービス総合サイトに手数料実績を掲載
その他:
- 契約書の写しを保管する仕組みがある
- 手数料管理簿に契約ごとの条件を記録している
契約書で困ったときは
本記事では紹介基本契約書の基本的な構成を解説しましたが、法的な助言は弁護士に相談することを強くおすすめします。
特に以下のケースでは、専門家のレビューが必要です。
- 大手求人企業から「自社フォーマットの契約書」を提示された場合
- 返金規定で求人企業と合意できない場合
- 求職者の個人情報に関するトラブルが発生した場合
まとめ
紹介基本契約書は、人材紹介ビジネスの基盤となる文書です。しっかりした契約書を整備することで、手数料の回収リスクを下げ、求人企業との信頼関係を構築できます。
次のステップ:
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