
職業紹介の実績ゼロでも事業報告書は必要?|書き方と休眠事業者の対応【2026年度版】
📅 2026年5月13日 最新版更新 / 2026年度(令和8年度)提出分対応
「求人・求職の実績がゼロだったので、事業報告書の提出は省略しても良いのでは?」 「休眠状態だけど事業自体は続けたい。廃業届を出すべきか、報告書だけ続けるべきか判断できない」
有料職業紹介事業の許可を受けた事業者は、実績ゼロでも事業報告書の提出義務があります。職業安定法第32条の16は、許可事業者全員に年1回の事業報告を求めているためです。提出を怠ると、許可更新時の審査で不利に働き、最悪の場合は許可の取消し対象となる可能性があります。
本記事で分かること
- 実績ゼロでも提出が必須な理由
- 様式第8号の各項目に0を記入する書き方
- 連続で実績ゼロが続く場合のリスクと許可更新への影響
- 休眠状態を続けるか、廃業届を出すかの判断材料
実績ゼロでも提出必須な理由

職業安定法は、許可を保有している全ての事業者に毎年度の事業報告書提出を義務づけています。実績の有無は提出義務の成立に影響しません。
実績ゼロ時の提出要件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出義務の根拠 | 職業安定法第32条の16 |
| 提出期限 | 毎年4月30日 |
| 提出内容 | 様式第8号の各項目にゼロ(0)を記入 |
| 提出先 | 管轄の都道府県労働局(職業安定部) |
| 提出を怠った場合 | 許可更新審査で不利/改善指導/取消の対象 |
実績ゼロ報告も「提出済」として記録されます。未提出のまま翌年度以降を迎えると、更新時に過去の未提出が指摘される運用です。
事業報告書全体の提出フローは事業報告書(様式第8号)の書き方ガイドで解説しています。本記事は実績ゼロのケースに絞った姉妹記事として読んでください。
実績ゼロの場合の記入方法

数値欄はすべて0を明示的に記入する
空欄のまま提出すると「未記入」と判断されて差戻しの対象となることがあります。実績ゼロでも以下の方針で記入してください。
| 記入欄 | 実績ゼロ時の記入 |
|---|---|
| 新規求人受理数 | 0 |
| 新規求職申込数 | 0 |
| 常用就職件数 | 0 |
| 臨時・日雇い就職件数 | 0 |
| 紹介手数料収入 | 0円 |
| 求人受付手数料 | 0円 |
| 返戻金 | 0円 |
| 取扱職種分類 | 許可証記載の範囲を記入(実績ゼロでも取扱職種は明記) |
| 職業紹介責任者数 | 実態の人数を記入(ゼロでは通らない) |
| 業務従事者数 | 期末時点の従事者数(0でも事業体制があれば数字を記入) |
| 教育訓練の実施 | 実施していなければ「実施なし」と明記 |
ゼロ記入で気をつけること
注意点1: 体制項目は「0」では通らない
求人・求職・手数料などの実績データはゼロでも問題ありませんが、職業紹介責任者数や業務従事者数は体制確認の項目です。責任者がいない状態は許可の継続要件を満たさないため、ここを0で記入すると体制不備の指摘対象となる可能性があります。
注意点2: 取扱職種は「実績なし」と「取扱いなし」が違う
取扱職種は許可証に記載された範囲で運営する前提です。実績がなかったのと、取扱いをやめたのとでは意味が異なり、後者は届出変更の対象となることがあります。ゼロ記入するかわりに、「取扱職種は許可証記載のとおり、実績は0件」の趣旨が伝わる様式の注記欄を活用してください。
注意点3: 事業所所在地・代表者情報の更新もれ
実績ゼロ期間中にも事業所移転や代表者変更が発生しているケースがあります。変更事項は事業報告書とは別の届出書で管轄労働局へ提出する必要があり、内容によって10日以内・30日以内と期限が分かれます(職業紹介事業の変更届出ガイド)。報告書のみ提出して届出を忘れていないか併せて確認してください。
エクセル様式に実績ゼロを記入する実務は記入例(エクセル版)でも触れていますので参考にしてください。
実績ゼロが続く場合のリスク

許可更新時の審査への影響
有料職業紹介事業の許可は、初回3年・更新後5年の有効期限があります(職業安定法第32条の6)。更新の手続き・必要書類・費用は人材紹介業の許可更新手続きで解説しています。更新審査では、
- 過去期間の事業実績
- 法定帳簿の整備状況
- 事業報告書の提出履歴
が総合的に確認されます。実績ゼロが複数年連続している場合、事業継続の実態があるかを問われる傾向があります。
事業継続性が疑われる典型パターン
| パターン | 指摘される可能性 |
|---|---|
| 実績ゼロが1年 | 単年の落ち込みとして説明可能な場合が多い |
| 実績ゼロが連続2〜3年 | 事業継続の実態を確認される傾向 |
| 実績ゼロが連続3年超 | 実質休眠と判断され更新が難しくなる可能性 |
実績ゼロが続いていても、求人開拓活動や求職者登録の体制維持など「事業継続の努力」を客観的に示せる資料を残すことで、更新審査に備えられる場合があります。
許可取消しリスク
実績ゼロ単独で直ちに取消しになるケースは稀ですが、以下が重なると取消し対象に近づくことがあります。
- 事業報告書を複数年未提出
- 法定帳簿が未整備
- 職業紹介責任者の不在状態が続く
- 事業所の実態がない
許可取消しに関する規定は職業安定法第32条の9を参照してください。
休眠事業者が取るべき対応

実績ゼロが続いている事業者は、事業の今後の方針を整理したうえで対応を選ぶことが望ましいでしょう。
対応選択肢の比較
| 選択肢 | 向いているケース | 留意点 |
|---|---|---|
| 継続(実績ゼロ報告で様子見) | 近い将来に再開見込みがある | 連続ゼロで更新不利の可能性 |
| 廃業届を出す | 再開見込みがない | 再開時は新規許可申請が必要 |
| 一時休止(実質的な停止) | 短期的に人員体制のみ縮小 | 法令上の正式な「休止制度」はない |
継続を選ぶ場合のチェックリスト
「今年はゼロでも来年は動かせる」状態を維持したい場合、以下を備えておくと更新審査で有利に働きます。
- 職業紹介責任者・業務従事者の体制維持
- 事業所の実態(賃貸契約・掲示物・電話応対)の維持
- 求人開拓・求職者登録に向けた営業・広報の記録
- 法定帳簿3種(求人管理簿・求職管理簿・手数料管理簿)の継続整備
廃業届を選ぶ場合のポイント
再開の見込みがない場合は、許可返納を伴う廃業届を提出することで、以降の事業報告書提出義務が解除されます。廃業届提出前に、
- 契約中の求人・求職者への対応完了
- 法定帳簿の保存期間(3種とも完結の日から2年)の確認
- 許可証の返納
を済ませる必要があります。廃業届の様式・期限・許可証返納の手順は職業紹介事業の廃止届・廃業手続き完全ガイドで解説しています。
廃業届と事業報告書の順序
事業年度の途中で廃業を決めた場合、当該年度分の事業報告書は4月30日までに提出したうえで、廃業届を並行して提出するケースが一般的です。廃業届を先行して出したとしても、当該年度分までの報告義務は残るため、報告書を省略することはできません。

つまり「廃業届を出したから報告書は不要」にはなりません。年度途中の廃業でも、報告書(4月30日期限)→ 廃業届 → 帳簿の2年保存という3つの義務が時間差で残る点を押さえておいてください。
よくある質問(FAQ)
実績ゼロでも事業報告書の提出は必要ですか?
はい、提出必須です。職業安定法第32条の16により、有料・無料職業紹介事業の許可事業者は全員、毎年4月30日までに前年度の事業報告書を提出する義務があります。実績の有無は提出義務の成立に影響せず、実績がなかった年度はすべての数値欄に0を記入して提出します。
実績ゼロの場合、記入項目はすべて0で良いですか?
数値欄は0で問題ありませんが、職業紹介責任者数・業務従事者数・取扱職種などの体制項目は実態の値を記入してください。責任者を0で記入すると体制要件の不備と判断される可能性があります。数値のゼロと体制のゼロは意味が異なる点に注意してください。
連続で実績ゼロだと許可は取り消されますか?
実績ゼロのみで直ちに取消しにはなりませんが、連続3年超の実績ゼロは許可更新時に事業継続性を疑われ、更新が難しくなる傾向があります。取消しは事業報告書未提出・帳簿未整備・責任者不在など複数要因が重なった場合に検討されることが多いです。継続を希望する場合は、実績ゼロでも体制維持・営業活動の記録を残すことが推奨されます。
事業を休止したい場合の手続きは?
職業紹介事業には、労働者派遣事業のような法令上の「休止制度」はありません。実務上は、(1)実績ゼロのまま報告を続けて事業継続扱いを保つ、(2)廃業届を提出して許可を返納する、の2択となります。短期的な一時停止であれば(1)、再開見込みがないなら(2)を選ぶケースが一般的です。
廃業届と事業報告書、どちらを先に出すべきですか?
当該年度分の事業報告書を4月30日までに提出してから、廃業届を提出する運用が基本です。年度途中で廃業を決めても、当該年度までの報告義務は残るため、報告書を省略して廃業届のみを提出することはできません。順序を迷う場合は、管轄労働局に確認してから手続きを進めてください。
まとめ
実績ゼロでも事業報告書は提出必須で、未提出は許可更新の際に不利に働きます。数値欄は0で記入しつつ、職業紹介責任者数・業務従事者数などの体制項目は実態の値を記入する点が重要です。実績ゼロが連続する場合は、事業継続か廃業かを早めに整理し、継続を選ぶなら営業活動・体制維持の記録を残すことで更新審査に備えられます。
報告書や法定帳簿の整備が手作業で重荷になっているなら、日常業務と帳簿運用を一体化する仕組みを検討する余地があります。
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